共同相続

 相続が発生して、2人以上の相続人が、共同して相続する相続の形態を、共同相続といいます。
これに対して、相続人が1人しかいない場合は、その1人が全遺産を承継することになりますが、これを単独相続といいます。

 現在の民法は、個人の尊厳や男女平等の原則によって、共同相続の原則が採用されています。
すなわち、相続人である子は、男女・長幼を問わずに平等に相続します。
共同して相続された財産は、その相続人の持分に(相続分)に応じて、各人に分割されるわけですが、この分割されるまでの関係を共同相続といい、各相続人は相続分に応じて相続財産(遺産)を共有します。

※相続人の順位については→相続Q&AのQ5参照

遺産分割

 遺産分割とは、共同相続の場合に、相続人の共有となっている遺産を相続分に応じて分割し、各共同相続人の単独財産にすることをいいます。
遺産の共有状態は分割への過渡的形態に過ぎないことから、共同相続人はいつでも遺産分割を請求することができます。

ただし、以下の場合には、一定期間、遺産分割を禁止することができます。
 ①被相続人の遺言
 ②共同相続人の特約
 ③家庭裁判所の審判

指定分割と協議分割

 遺産分割には、指定分割と協議分割があります。

①指定分割

 被相続人の遺言によるもので、直接分割の方法を定めることができるほか、分割方法を定めることを第三者に委託することができ、これを指定分割といいます。
 分割方法の指定は、遺産の全部また一部についてすることができ、指定の方法は、財産の種類だけの指定や個別的財産の 指定ができます。
 共同相続人の一部または遺産の一部についてのみ分割方法が指定されている場合は、残りの部分について共同相続人全員で協議して分割方法を決定することができます。

②協議分割

 共同相続人全員で協議して分割方法を決定することをいいます。
被相続人の遺言による指定がない場合の分割方法です。
 共同相続人の1人から分割の要求があった場合には、他の相続人は協議に応じる義務があります。
協議分割は、相続人全員の参加と合意を必要とするために、一部の相続人を除外したり、一部の相続人の意思を無視して行った協議は無効となります。

遺産分割の方法

①現物分割

 個別財産について、相続する数量、金額、割合を定めて分割する方法で、現物分割ができないときは、換価分割や代償分割によることになります。
例えば、遺産が土地である場合に土地を分筆して相続人単独の所有権移転登記を行うことをいいます。

②換価分割

 共同相続人が相続によって取得した全部または一部を金銭に換価して、その代金を分割する方法をいいます。

③代償分割

 共同相続人のうちの特定の者が遺産を取得して、その代償として遺産を取得した者が自己の固有財産を他の相続人に支払うことをいいます。

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