戸籍簿の、正本は役所、副本は法務局
戸籍簿については、保存期間は定められていません。現に在籍者がおり使用されている戸籍をつづっているのですから、戸籍簿は常に現役であり、保管され続ける必要があるのは当然ですね。
では、何らかの理由で戸籍簿が滅失してしまったら、どうなるのでしょうか?
例えば、2011年の東日本大震災によって、宮城県南三陸町および女川町ならびに岩手県大槌町および陸前高田市の戸籍、除籍および原戸籍が滅失しました。
もう少し正確にいうと、市役所や町村役場に備えられた戸籍の「正本」が滅失したのですが、滅失した戸籍は、管轄法務局で保存していた「副本」を元に再製作業を行い、同年4月25日に戸籍の再製データの作成が完了しています。
このように、戸籍は正本と副本が設けられており、正本は市役所または町村役場に備え、副本は管轄法務局もしくは地方法務局またはその支局が保存しています。
除籍簿、改製原戸籍簿の保存期間
除籍簿、改製原戸籍簿については保存期間の定めがあり、以前はその保存期間は80年(改製原戸籍は種類により100年)でした。平成22年に戸籍法施行規則の一部改正により、除籍簿、改製原戸籍とも保存期間は150年に変更されています。
保存期間の変更が施行されたのが平成22年6月1日ですから、その日以前に除籍または改製されてから80年が経過していると、廃棄処分されている可能性があります。昭和5年5月以前に除籍・改製事由に該当しているものは、要注意ですね。
相続手続きに必要な原戸籍謄本等の一部が滅失した場合
相続手続きの際に、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を請求しても、そのうちの一部の戸籍(除籍・改製原戸籍)が、保存年限の経過により廃棄処分されているとその謄本は発行されません。また、関東大震災や先の戦争における空襲で焼失し再製できなかった場合も同様です。
こういうケースでは、保存年限経過などの理由により除籍・改製原戸籍の謄本が交付ができない旨の「通知書(あるいは証明書・告知書)」を発行してもらう必要があります。
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