不動産登記制度の目的

①不動産の権利の保全

 権利の登記をすることによって、権利の保全がなされ、第三者に対抗することができるようになります。
対抗要件とは、物件の変動(例えば売買による所有権移転)を第三者に主張するために必要な要件をいい、不動産の場合には登記が対抗要件となります。

②取引の安全と円滑

 不動産の取引の安全を図るためには、登記義務者の本人確認とその意思確認が重要となります。
 例えば、土地の売買契約をした場合に、売主A(登記義務者)本人が登記申請していることを確認するために、A本人しか知り得ない登記識別情報を提供させることによって、手続き上の安全が図れています。
 また、登記官による本人確認により、さらなる安全確保を企図しています。

不動産登記制度

 不動産の現況と権利関係を登記簿に記録して公示するものです。
物権は排他的な効力を有する強い権利であり、その物権の存在が公示されていなければ、第三者に不測の損害を与える恐れがあります。そこで、不動産取引の安全を図るために、この物権を公示するためにこの制度があります。

法務局(登記所)に備え付けられた不動産登記簿に、その所在、面積、構造などの現況や、所有権その他の権利の変動が記載されます。
 登記が可能な権利は、所有権、地上権、永小作権、地役権、先取特権、質権、抵当権、砕石権および賃借権です。

公示の原則と対抗力

 所有権には排他性があり、ある土地の上に1つの所有権が成立すると、その所有権以外に所有権は成立しません。このように、物権は排他性を持つ独占的な支配権であり、その存在を第三者が簡単に認識できる方法を考えておかないと、第三者に不測の損害を与え、取引の安全を害する恐れがあります。
そこで、この権利の存在を公示するために、不動産については登記が制度化されています。

 例えば、Aさんから甲土地を買ったBさんは、既に売買契約をして買付代金も支払い、甲土地の所有権を得ていたとしても、その旨の登記をして公示をしないと、Bさんの売買の後にAさんから二重に土地を買ったCさんに対して、その所有権を原則として主張できません。
この場合のように、既に成立している権利関係(上の例ではBさんの甲土地の所有権)を第三者(Cさん)に主張できるための要件が、対抗要件です。

不動産登記の効力

不動産登記によって認められる効力は、「推定力」「確定力」および「対抗力」です。

①推定力

 登記された事項は、実体権利関係においても一応真実と推定されることをいいます。この法律上の推定が働くと、相手方が反対事実を証明しない限り、推定事実が認定されます。

②確定力

 ある登記が存在する以上、その有効、無効にかかわらず、その登記を抹消しない限り、 その登記と矛盾する登記はできないことをいいます。

③対抗力

 不動産について、登記がなければその権利変動を第三者に対抗できないという効力です。
 →前述の「公示の原則と対抗力」を参照ください

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